前中期経営計画では、事業戦略、経営基盤強化策を着実に実行し、次の中期経営計画に向かう基礎固めを行ってきました。
本中期経営計画における当社を取り巻く事業環境においても、高速道路関連について建設後50年を越える道路橋割合の急激な増加に伴う大規模更新・大規模修繕事業の拡大や、 ミッシングリンクの解消を図る大型プロジェクトの具体化などを踏まえて良好な状況が続くと考えています。
中期経営計画
2026年度に目指す姿
ファブ(工場製作)とエンジ(現場施工)を両輪とし、豊富な実績に基づく高度な技量を備えた日本を代表する鳶集団を中心とした協力会社を傘下に持つ業界屈指の総合エンジニアリング会社として、グループの連携を強化すると共に、経営資源の質・量の充実を図り、競争力を強化し、豊かな社会の構築に貢献する大規模工事への参画により売上と利益を拡大することで、持続的成長による企業価値の向上を図ります。
中期経営計画(2022~2026年度)の見直しと進捗
環境認識
現中期経営計画を策定したのは2021年度であり、それから約4年の間に市場環境は私たちの想像を超えて大きく変わってきています。
公共投資は、関連予算で見ると補正予算の効果もあって金額ベースでは堅調に推移しているものの、鋼製橋梁の新設関連工事においては、物価上昇などの影響により重量ベースでの発注量が減少傾向にあります。
また、高速道路関連工事において、案件の大型化や施工タイミングの不透明さなどの影響により、工場操業度の平準化が難しい局面が続いています。
一方、事業規模規約7兆円の大規模更新・保全関連工事においても、既契約工事における大幅な追加予算の必要性などから、新規契約工事の規模を縮小する動きが活発化しており、この流れは当面継続する見通しです。
当社グループとしては、技術提案・交渉方式などを通じて複数案件の優先交渉権を獲得しているものの、非常に技術的難易度の高い設計・施工対応力が求められているため、詳細設計や第三者協議などが難航して、施工時期や発注時期が年単位で遅れることも多く、全体的な売上時期などを見通すことが難しい状況となっています。
達成目標の見直し
このような状況を踏まえ、2026年3月期第2四半期決算説明会(2025年11月)において、現中期経営計画(2022~2026年度)の最終年度となる2027年3月期の達成目標の見直しを行いました。
市場全体が、短期(2~3年)で売上が見込める新設関連工事から、長期(5~6年以上)視点で取り組む必要のあるビッグプロジェクトや大規模更新・保全関連工事へと主体が移行していく過渡期にある今、いわゆる「谷間の年」が発生するリスクも織り込みつつ、柔軟な事業運営が求められています。
今後は、現行中期経営計画のもとで、グループの経営管理体制をさらに強化するとともに、黒字体質の維持・強化、成長分野への経営資源の選択と集中、人材確保・育成や女性活躍、働き方改革の推進などに取り組みます。
なお、2027年度を初年度とする次期中期経営計画については、市場環境の動向などを見据えながら取りまとめのうえ、2026年度中に公表する予定です。
定量目標の進捗および見直し
事業戦略
主要戦略
当社グループでは、2026年に向けた事業戦略として、8つの戦略を実施しています。
主要戦略の状況
ESG・SDGsへの取り組み
自然災害に迅速かつ安全に対応、気候変動対策、人材育成・ダイバーシティ推進、ガバナンス向上も会社の持続的成長に不可欠な要素として取り組みます。
また、IR室(現:サスティナブル経営推進室)を設置して投資家の皆様との対話機能の充実を図っています。
サステナビリティ推進について
当社グループでは、2022年度に持続的な成長のための経営上の課題として「マテリアリティ」を特定し、2023年度にはサステナビリティ推進委員会が主導してその目標およびKPIの設定を行いました。
各目標およびKPIの達成に向けて、サステナビリティ推進委員会の下に7つの分科会を設置し、グループ一丸となって取り組んでいます。
株主・投資家との対話の拡充
当社は、株主の意見を真摯に受け止め、経営に反映するため、的確かつ迅速な経営情報の開示を行うとともに、株主との建設的な対話を通じて、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めています。
その方針に基づき、株主・投資家の皆様との積極的な対話を心がけています。
2024年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の取り組み
①対話を行った株主・投資家の概要
● 国内機関投資家など SR面談20回、IR面談20回、決算説明会2回、工場見学会6回
● 海外機関投資家など SR面談5回、IR面談14回
②株主・投資家との対話の主な対応者
● 代表取締役社長 青田 重利
● 執行役員企画・管理部長 遠藤 彰信
● サステナブル経営推進室長 平岡 輝崇
(注)対応者の役職はいずれも2025年3月31日時点のものです。
株主への説明で理解を得られた事項
① 中期経営計画(2022~2026年度)における事業戦略や成長投資などの計画と実績および事業環境を踏まえて2024年11月の決算説明会において見直しを行った達成目標等
② 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(2024年度)に基づく資本政策の考え方と実施状況
③ 統合報告書2023(2023年5月22日発刊)および統合報告書2024(2024年9月30日発刊)に基づく、過去の歴史を踏まえた価値創造プロセスとそれを実現する基盤
株主との対話で得られた事項や取り入れた事項(前年度までの対話によるものも含む)
① 統合報告書2024における内容の拡充(2024年9月発刊)
② 英文開示(日英同時)への取組み(2024年4月より実施)
③ 女性取締役の登用(2025年6月より現状の7名中1名から2名へ増員)
④ 資本政策の拡充(2024年11月に中期経営計画期間中の配当金額を開示)
⑤ 株式分割の実施(2024年10月実施)
⑥ 政策保有株式の縮減(2025年3月期に2銘柄縮減)
⑦ 取締役のスキル・マトリックスの内容充実(2024年3月期より実施)
⑧ 株主総会における電子投票制度および議決権電子行使プラットフォーム採用(2024年3月期定時株主総会より実施)
⑨ 取締役会実効性評価の拡充(2025年3月期有価証券報告書より開示拡充)
資本戦略
一定の資本拡充および成長投資も確保の上で、株主還元の維持・拡大を図ります。具体的には、中期経営計画の期間内に稼ぎ出すEBITDAについて約400億円を見込んでおり、成長投資に約180~200億円を投じる予定です。また、株主還元として総還元性向60%を目安に還元を維持・拡大していく予定です。
一定の資本拡充および成長投資も確保の上で、株主還元の維持・拡大を図る
投資戦略
生産性向上に向けた投資の他に、新規事業開発や総合エンジニアリングの機能強化に向けて30~50億円規模の投資を想定しています。総額では約180~200憶円の投資を見込んでいます。
配当政策
関連情報
政策保有株式の縮減について
当社グループは、当社と保有先企業との長期的・安定的な関係の構築など取引関係の維持等を目的として、上場株式を政策保有しています。
現中計期間中に、純資産に対する政策保有株式簿価の割合を10%以下にまで縮減する計画です。

